Photographer
Videographer
Director
写真や映像をつくるとき、いちばん大事なのは「どんな機材か」ではなく、「どう見るか」だと思っています。
もちろん、カメラやレンズ、照明、編集の技術は大切です。
けれど、それ以前に、何を見ているのか。
どこに心が動いたのか。
何を残したいと思ったのか。
撮る前に、すでに写真や映像の方向は決まり始めています。
このシリーズでは、山や海、仕事の現場、人やものとの出会いの中で学んできた「見ること」について、少しずつ書いていきたいと思います。
写真は、シャッターを押した瞬間に生まれるものだと思われがちです。
でも実際には、その前にいろいろな時間があります。
現場に入ったときの空気。
窓から入る光。
そこにいる人の表情。
ものの置かれ方。
音や匂いのような、写真には直接写らないもの。
そうしたものを感じながら、少しずつ「どこから見るか」を探していきます。
撮る瞬間は一瞬です。
けれど、その一瞬にたどり着くまでの時間が、写真の印象を大きく決めている気がします。
ただ目の前にあるものを眺めることと、見ることは少し違います。
見るというのは、心のピントを少し絞ることかもしれません。
なぜ、そこに心が動いたのか。
どこにその人らしさが出ているのか。
何がその会社らしさをつくっているのか。
その商品は、どんな空気をまとっているのか。
表面だけをなぞるのではなく、その奥にある気配に気づくこと。
それが、私にとっての「見る」ということです。
写真や映像は、見えているものをそのまま写すだけではありません。
見えにくい魅力に気づき、それをどう伝えるかを考える仕事でもあります。
20代後半から30代にかけて、仕事の一環として山岳写真に関わるようになりました。
最初から登山に詳しかったわけではありません。
むしろ、山のことをほとんど知らないところからの出発でした。
編集者や登山経験者に話を聞き、実際に山に入り、少しずつ覚えていきました。
天気、雲の流れ、風の向き、雪の状態、地形、地図、時間、自分の体力。
山では、ただ景色をきれいだと思って見ているだけでは足りません。
見ることは、判断することでもありました。
きれいな夕景の奥に、天候の変化がある。
足元の雪の感触に、これからの行動を決める情報がある。
遠くの雲の動きに、明日の気配がある。
山で覚えたのは、風景を見る目というより、空気の変化を読む目だったのかもしれません。
長く釣りを続けてきました。
フライフィッシング、テンカラ、ブラックバス、ヒラマサジギング、タイラバ、マルイカ。
釣りの対象や場所は変わっても、海や川に立つ時間には共通しているものがあります。
それは、すぐに答えが出ないということです。
潮の流れ、風、水の色、波、鳥の動き。
魚がいるのか、いないのか。
反応があるのか、ないのか。
こちらが焦っても、自然は急いでくれません。
ただ待つのではなく、見ながら待つ。
変化の少ない時間の中で、小さな違いに気づこうとする。
海で覚えたのは、答えを急がない目だった気がします。
それは人物撮影にも似ています。
すぐにいい表情を求めるのではなく、相手が少しずつ自然に戻っていく時間を待つ。
その人らしさは、急がせると遠ざかってしまうことがあります。
人物を撮るとき、私は無理に表情を引き出そうとは思っていません。
もちろん、声をかけることもあります。
場を和ませることもあります。
でも、撮る側が強く引っぱりすぎると、その人の表情は少し固くなってしまいます。
作られた笑顔よりも、ふっと力が抜けた瞬間。
会話のあとに、表情が自然に戻る瞬間。
緊張がほどけて、その人のリズムが少し見えてくる瞬間。
そういう時間を大切にしています。
人を見ることは、相手を急かさないことでもあります。
こちらの都合で「いい表情」をつくるのではなく、その人の中にある自然な表情が出てくるのを待つ。
その距離感が、人物撮影ではとても大切だと思っています。
人物を撮るとき、私は無理に表情を引き出そうとは思っていません。
もちろん、声をかけることもあります。
場を和ませることもあります。
でも、撮る側が強く引っぱりすぎると、その人の表情は少し固くなってしまいます。
作られた笑顔よりも、ふっと力が抜けた瞬間。
会話のあとに、表情が自然に戻る瞬間。
緊張がほどけて、その人のリズムが少し見えてくる瞬間。
そういう時間を大切にしています。
人を見ることは、相手を急かさないことでもあります。
こちらの都合で「いい表情」をつくるのではなく、その人の中にある自然な表情が出てくるのを待つ。
その距離感が、人物撮影ではとても大切だと思っています。
撮影前に話を聞く時間を、私はとても大切にしています。
何を伝えたいのか。
誰に届けたいのか。
どこにその会社らしさがあるのか。
何を写し、何を写さないのか。
ヒアリングというと、段取りや確認のための時間に思われるかもしれません。
もちろん、それも大切です。
でも私にとっては、それ以上に「見るための準備」です。
話を聞くことで、現場で何を見るべきかが少しずつ見えてきます。
逆に、話を聞かないまま撮影に入ると、大事なものを見落としてしまうことがあります。
撮影前の時間も、撮影の一部です。
むしろ、そこでどれだけ見る目を合わせられるかが、写真や映像の方向を決めていくのだと思います。
山で覚えたこと。
海で覚えたこと。
人を見るときに大切にしていること。
商品や会社を見るときに考えていること。
光や影、余白、撮らないものについて。
このシリーズでは、私が撮る前に何を見ているのかを、少しずつ書いていきたいと思います。
写真や映像は、カメラを構えた瞬間だけでできているわけではありません。
その前に見ている時間。
感じている空気。
迷いながら探している視点。
そうしたものが、最終的な一枚や一本の映像につながっていきます。
見ることは、撮ることの前にある。
このシリーズが、写真や映像を見るときの小さな入口になれば嬉しく思います。
会社案内や採用に使う写真・映像でも、
まず大切にしているのは、その会社をよく見ることです。