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G-works Creative Studio|企業向け写真・映像制作

Takadaの視点

My Blog

Picture of Naonori Takada

Naonori Takada

Photographer
Videographer
Director

  • 1989年 広告カメラマンとして活動開始
  • プロダクション、制作会社にてフォトグラファー、ディレクターとして勤務
  • 2014年10月 独立後ジーワークス設立
  • 千葉県鎌ケ谷市を拠点に、企業向けの写真・映像制作を行っています。
  • 特技:料理
  • 趣味:釣り、山登り

シリーズ『ものを見る目』

02 山で覚えた、空気を読む目

山の撮影をしていた頃、いちばん大事だったのは、カメラの前に立つことではありませんでした。

もちろん、どこから撮るか、何mmのレンズを使うか、光をどう読むか。そういう技術的な判断も必要です。けれど山では、それ以前に見ておかなければならないものがありました。

まずは空気を読むこと。

雲の流れ。

風の匂い。

雪面お硬さ。

遠くの空の明るさ。

人の疲れ方。

自分の呼吸の乱れ。

霧に包まれた月山の稜線と登山道

そういった見えない情報が、

その日の山の教条を決めていきます。

山では目に見えているものだけを見ていると、少し遅いのです。

このシリーズでは、山での撮影経験と、

今の仕事にどうつながっているのかを、書き残しています。

目次

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1. 撮る前に、まず空気を読む

2. 山は急がせてくれない

3. 見えている景色の奥になるもの

4. 無理に近づかないこと

5. 空気は、写そうとしないと写らない

1.  撮る前に、まず空気を読む

山の撮影は、こちらの都合だけでは進みません。

晴れてほしいと思っても、山は晴れてくれません。
もう少し待ちたいと思っても、天候が崩れれば引き返さなければなりません。
いい光が来そうでも、その場所に立っていて安全かどうかを考えなければいけません。

写真を撮ることよりも先に、その場の空気を読むことが必要でした。

この雲は抜けるのか。
風は強くなるのか。
この先に進んでいいのか。
今日は無理をしない方がいいのか。

山で覚えた「見る」は、被写体を見つめることだけではありません。
周囲の変化に気づき、まだ起きていないことを想像することでもありました。

朝の雲ノ平にのびる木道

2. 山は、急がせてくれない

明け方の北岳から望む、雲海に浮かぶ富士山

若い頃の自分は、いい写真を撮りたい気持ちが強く、どうしても前のめりになっていたと思います。

けれど山では、急ぐほど見えなくなります。

息が上がれば、周りを見る余裕がなくなる。焦れば、空の変化を見落とす。

撮りたい気持ちが強すぎると、引き返す判断が遅れる。

山は、こちらの欲をよく見透かしているようなところがありました。いい瞬間は、力ずくでは撮れません。

その場にいて、待って、感じて、少し先を読む。その積み重ねの中で、ようやく一枚が撮れることがありました。

山での経験は、写真の技術というより、ものごとへの向き合い方を変えてくれたように思います。

3.見えている景色の奥にあるもの

工場で金属部品を確認する作業者

山で撮影をしていると、美しい景色に出会うことがあります。

朝焼けに染まる稜線。
雲の切れ間から差す光。
風に揺れる草。
雪の上に残った足跡。

けれど、その美しさだけを撮ろうとすると、どこか薄くなることがあります。

その景色の前に、どんな時間があったのか。
どんな天候の変化があったのか。
そこに立つまでに、どんな判断があったのか。目の前の美しさは、突然そこに現れたものではありません。

その手前にある空気や時間を感じることで、写真の見え方は変わっていきます。

これは、今の仕事にもつながっています。

会社や現場を撮るときも、見えているものだけを撮ればいいわけではありません。
機械が動いている。
人が作業をしている。
商品が並んでいる。

それだけなら、記録としては残せます。

でも、その奥にある空気を見ようとすると、少し違ってきます。

なぜこの人は、この手順を大事にしているのか。
この現場には、どんな緊張感があるのか。
この会社らしさは、どこに滲んでいるのか。

山で覚えた「空気を読む目」は、今も撮影の前に働いています。

4. 無理に近づかないこと

雪景色の湖畔に差し込む朝の光

山では、近づけばいいというものではありません。

もう少し先へ行けば、もっといい景色が見えるかもしれない。
あと少し粘れば、もっといい光が差すかもしれない。

そう思うことは何度もありました。

でも、行かない判断をすることも大事です。
撮らない判断をすることもある。
待つこともある。
引き返すこともある。

それは、あきらめることではなく、その場をちゃんと見ることなのだと思います。

人を撮るときも、会社を撮るときも、同じことを感じます。

無理に近づきすぎると、相手の自然な表情は消えてしまう。
急いで答えを出そうとすると、その人や会社が持っている本来の空気を見落としてしまう。

撮影は、踏み込む仕事であると同時に、踏み込みすぎない仕事でもあります。

山頂付近から景色を見つめる筆者

5. 空気は、写そうとしないと写らない

写真や映像には、目に見えるものしか写らないようでいて、実はそうではありません。

その場の緊張感。
人と人との距離。
仕事に向かう姿勢。
言葉になる前の気配。

そういうものは、意識して見ていないと写りません。

山で、空や風や雲を読んでいたように、今は現場の空気を読むようにしています。

撮影の前に話を聞く。
現場を歩く。
作業の流れを見る。
人の表情が少しゆるむ瞬間を待つ。

そうやって、目の前にあるものだけではなく、その場に流れているものを感じようとしています。

山で覚えたのは、特別な景色の撮り方ではありません。

見えない変化に気づくこと。
焦らず待つこと。
無理に動かないこと。
そして、目の前の一枚の奥にある時間を想像すること。

それは今も、撮影の前に大切にしている「見る目」のひとつです。

湖畔に立ちのぼる朝靄

会社案内や採用に使う写真・映像でも、
まず大切にしているのは、その会社をよく見ることです。